原体験は廃墟?ジャンルレスな音楽観でHIPHOPを体現する kZm(YENTOWN)が選んだBLOCK PARTYプレイリスト

1997年に日本へ上陸して以降、アートやカルチャーと密接な関係を築き、とりわけ音楽シーンを盛り上げてきたZIMAが、5月29日にHIPHOPイベント<ZIMA BLOCK PARTY>を開催する。70年代のNYでヒップホップ誕生の礎になった“ブロック・パーティー”をテーマに、表参道の『PIZZA SLICE2』でkZm(YENTOWN)、あっこゴリラ、JABBA DA FOOTBALL CLUB、Taeyoung Boyという若手HIPHOPアーティスト4組が一夜限りの共演。そこで今回は、出演アーティストによるインタビュー・シリーズ第3回目としてkZmに“ブロック・パーティー”をテーマにしたプレイリストを選んでもらった。

INTERVIEW:kZm

――今回はブロック・パーティーをテーマに10曲を選んでもらったので、それぞれを選んだ理由を教えてください。まずはニルヴァーナの“Rape Me”。この曲の退廃的な世界観やビートの激しさはkZmさんっぽいなと思いました。

ありがとうございます。けど恐れ多いです。俺ら昔、渋谷と中目黒で廃墟に住んでたことがあったんですが、その時の感じが自分の中ではブロック・パーティーだと思ってて。ニルヴァーナを初めて聴いたのは中3とかで、最初にロックでクラッたのはエモロックみたいな感じでマイ・ケミカル・ロマンスっていうバンド。それが中学の時に流行って、その時にヒップホップはもう聴いてたんですけど、ロックもアリだなって思った。その流れでこの曲はスゲー聴いてました。この時ってもう有名になりたくないみたいな感じのバイブスっすよね?

NIRVANA / Rape Me

――人気絶頂だったカート・コバーンの祀り上げられることへのアンサーソング、みたいに言われたりもします。1曲目からkZmさんらしいセレクトでした。次はBobby Raps(ボビー・ラップ)の“Famous Bitch”。昨年リリースされた『MARK』というアルバムに収録されている曲ですね。

Bobby RapsとCorbin(コービン)っていう……元Spooky Black(スプーキー・ブラック)のミックステープをめちゃくちゃ聴いてて。ジョイントのやつを聴いてBobby Rapsヤバってなって掘ってたら見つけた曲です。こいつもすごくオルタナティブで、ブロック・パーティーで聴いたらブチ上がるだろうなって。

Bobby Raps / Famous B*tch

――この曲は知る人ぞ知るというか、掘っている人が聴いているレベルかなと。その流れからキッド・カディの“CONFUSED!”を挙げています。

この曲は最初に聴いた時は良さがわからなかったけど、夜遊んでる時に聴いてたりしてたら、これはスゲーって思うようになったんです。これを聴くならロックを聴くっていう人もいるかもしれないけど、これはこれで良さがあるし、こういうのやりたいっすね。今でこそ尖った先端にいるlil aaron(リル・アーロン)とかもギターサウンドじゃないですか? 個人的にトラップが落ち着いたらオルタナに寄っていくと思ってるので。トラビス・スコットとかも影響を受けてると思うんですよね。

Kid Cudi / CONFUSED!

――キッド・カディはその走りだったのかもしれませんね。次はなんとマリリン・マンソンの“This Is New Shit”。kZmさんなので意外のようで意外ではない、そんな印象です。

これはもう……ザ・モッシュって感じ。あんま詳しいわけではないんですけど、この曲はYESBØWYが教えてくれたんです。この感じなのに、聴きづらいわけではないっていうのがいいのかなと。……うーん、人によっては聴きづらいかもしれないけど。

Marilyn Manson / This Is New Shit

――フフ……まあそうですね、人によっては。次は自身の曲で、3月にリリースした1stアルバム『DIMENSION』から“KOKORO”。

JJJくんプロデュースのこの曲はスゲー気に入っててビデオを撮りたかったんですけど、桜の時期は3本くらい撮影があって、泣く泣く断念しました。やっぱトラップって基本はモッシュさせるのがライヴの魅せ方としてあると思うんですけど、この曲は聴かせるトラップを意識しました。曲名はビートの仮タイトルがKOKOROってなってたので聞いたら、童歌(わらべうた)からインスピレーションを受けていて、その歌詞からKOKOROって付けたそうなんです。その童歌もめっちゃカッコ良くてライヴ前にかけたり、DJに擦ってもらって曲に入ったりしてます。

kZm / KOKORO

――童歌からインスピレーションを受けていたというのは初耳でした。聴かせるトラップから、次は先ほども名前が出たlil aaronがフィーチャリングしているMISOGIの“Garcon”。

これはSoundCloudを掘ってた時にNight Lovell(ナイト・ラベル)を見つけて、そこからの流れで知った曲です。基本的に今回のプレイリストは、もちろんブロック・パーティーで聴きたいっていうのに加えて、俺がこれから参考にしたい曲っていう基準で選んでて。この曲はラップが入ってくるまでに時間がかかるけど、ドロップした時にスゲー気持ちいい。lil aaronも次のアルバムからのシングルが出てたけど、ジャンルはロックになってて、そこまで振り切るんだなって。

MISOGI / Garcon

――“振り切る”っていうのは、kZmさんが好きな曲のキーワードかもしれないですね。そして再びキッド・カディで“Cudi Zone”。これは2009年にリリースした1stアルバムの曲です。

途中までは重たい曲も入れてるし、流れ的にここらへんからは気持ち良くしていきたいなっていうのがあったので、間違いなく気持ちいい“Cudi Zone”を選びました。

Kid Cudi / Cudi Zone

――知らなくても素直に気持ちいいと思える曲だと思います。その流れで再び『DIMENSION』から“Tear Drop”。Chaki Zuluさんプロデュースのこの曲は、個人的にアルバムの中で最も意外性を感じた曲でした。

アルバムを作り終わった後に、Chakiさんのスタジオで「次、何しようか?」ってことを話してたんですけど、その時に「こういうのやりたいよね」っていうのを喋ってたらテンション上がっちゃって。「そういえばこういうのストックにあるわ」ってChakiさんが2015年ぐらいに作ったビートを聴かせてくれたんですけど、それがスゲー良かった。そこから「じゃあ足しちゃう?」みたいな感じで作ったのがこの曲です。アルバムの中の位置づけとしては「こんなこともできるんだよ」みたいな感じで、一番チャレンジした曲かもしれないっす。

kZm / Tear Drop

――あるインタビューでBIMさん(THE OTOGIBANASHI’S)もこの曲がお気に入りと話していました。終盤に差し掛かってきましたが、9曲目はYung Lean(ヤング・リーン)の“Muddy Sea”。彼のどんな部分に魅力を感じますか?

今の俺のスタイルの形成に一番影響を及ぼしてるのはコイツかもしれないし、「ああHIPHOPってもうなんでもいいんだ」っていう“何でもあり感”を自分に植え付けてくれた。俺が最初にクラったのはエミネムで、そこからA$AP(Rocky/エイサップ・ロッキー)で、今、最後にクラってるのがYung Leanですね。ブロック・パーティーだとブチ上がった後に気持ち良くなって、このへんから少し落ち着いてきて……っていうイメージ。Yung Leanは一回会った時も俺の作ってる服を着てくれて、超ナイスなヤツでした。曲やりたいっすね、先輩ではPETZくんとかがやってるんで。

Yung Lean / Muddy Sea

――その曲はぜひ聴きたいです。最後はフランク・オーシャンで“Provider”。オッド・フューチャーの一員であり、デビューから恐るべきスピードで成り上がったシンガーですね。

基本的に全曲好きなんですけど、“Provider”は一番新しいってこともあって最近よく聴いてて。ただ『Channel Orange』もいまだに聴くし、『Blonde』も聴く。特別めちゃめちゃ歌が上手いってわけではないと思うんですけど、あの味というか……。好きなアーティストを挙げろって言われたら、日本なら宇多田ヒカル、海外ならフランク・オーシャンですね。

Frank Ocean / Provider

――そこまでなんですね、ではブロック・パーティーの最後は一番好きなアーティストの曲で締めくくると。プレイリスト、ありがとうございました。<ZIMA BLOCK PARTY>が迫ってきましたが、kZmさんはZIMAにどんな印象を持ってましたか?

昔はクラブで……ゲートウェイ(入り口)な感じですよね、ZIMAって。あとは海のイメージが強いかも、海でロゴを見ることが多い。清涼感というか爽やかな感じ。あとこれ以上は酔いたくないなって時に飲むかもしれないっす。実際に今でもクラブでたまに飲みますよ。

――そして今回のイベントでは、ZIMAにピザも特典で付いてきます。

それこそ気遣ってるわけじゃないですけど、PIZZA SLICEのピザは好きっす。もともとSON OF THE CHEESE(BUY ME STAND、SON OF THE BAR)でバーテンをやってて、近くにPIZZA SLICEがあったんで。イタリアン系よりNYピザの方が好きなんです。片手にピザ持って歩いてる“画”がいいし、あと飲んでる時にあのピザの箱が散らかってるのもいいじゃないですか。

text&interview by ラスカルNaNo.works
photo by 横山マサト
取材協力:SALOON

EVENT
INFORMATION

ZIMA BLOCK PARTY

OPEN・START 19:00 / CLOSE 22:00
ADV:¥1,000 with ZIMA 1 Bottle & PIZZA 1 SLICE
kZm(YENTOWN) / あっこゴリラ / JABBA DA FOOTBALL CLUB / Taeyoung Boy
DJ:DJ REN / HOST:SIMON

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ARTIST
INFORMATION

kZm – DIMENSION